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「こっちよ!こっちから聞こえてきたわ!」
いつの間にか月明かりだけが頼りになった世界に突如、動く眩い小さな光が二つ。
草をかき分ける音の出所と同じ位置を支点にして細く伸びた光の道が暗闇をせわしなく動き回る。
「どこ?どこにいるの!」
パパとママの声だ!!
私は心踊り、重い体を持ち上げ力を振り絞り、再び自分の位置を力の限り訴える。私の居場所を気付いたパパの足音はこちらに向かって大きくなる。
「良かった!もう、本当に心配してたんだぞ!」
息を切らせながら覗き込むパパと懐中電灯の明かり。
目の前の茂みで足を止め、横たわる私に手を差し出した。
「ほら、もう大丈夫だよ。【ポチ】。」
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