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「ポチ、、ずっと食欲が無かったから、、てっきりお外で遊びたいのかなって思ってたから。ごめんなさいね、パパ。」
助手席からのママの声。
「仕方ないよ。まさかポチが飛び出して行ってしまうなんてわからないからね。ママ、気にしないでいいよ。それに......。」
ハンドルを握るパパは黒百合を探す目的を果たせ無かった責任を感じてうなだれるママに元気つけ始めた。
「ポチがね。今回迷子になって思い出したんだ。ポチが大切な家族だって。子供が出来てから俺達、全くかまって無かったよな。もしかしたら寂しかったのかも知れない。」
バックミラー越しに申し訳無さそうにパパは私の様子を見る。
「......いっぱい怪我しているみたいよ。家でしっかり診てあげないと。ごめんね。ポチ。」
助手席のママは振り返り、心配そうに私の様子を見る。
今、パパとママの頭の中は私の事だけだぞ。ニヤリと笑い隣のゆりかごみたいなチャイルドシートと言う名前の物の中でスヤスヤ眠るアイツを見た。
ああ、気持ちがいい。
もう眠ってしまいそうだ。
「そう言えばパパ。【黒百合の花言葉】って知ってる?」
あれ? ママの少し意地悪な含みを浮かべた声が聞こえてきたぞ。
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