真夏の夜に

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 2018年8月。毎日の天気は相変わらずの猛暑で、夜になっても汗ばむほど蒸し暑い。しかし夏といえば祭りの季節。ここ軽井沢でも祭りの時期になり、参加する者はみな連日の暑さにも負けないほど和気あいあいとして、年に一度のイベントを盛り上げている。  茨城県に住む大学生2年生・国府田圭介(こうだけいすけ)は、入学した頃から付き合ってきた彼女・小嶋葵(こじまあおい)とともに、夏祭りの目玉である花火大会を観るために、わざわざ電車に乗ってまではるばる軽井沢までやってきていた。  葵「今夜は待ちに待った花火ね。楽しみだわ。」  圭介「そうだな!」  夜になるのを待ちながら、2人は道中に出ている屋台で焼きそばやりんご飴、かき氷を買っては食べ、蒸し暑いながらも楽しいひとときを過ごしていた。  そして夜7時。あたりはほぼ暗くなり、道中に飾られた提灯や屋台の明かり、それから山車や神輿までがそれまでよりまして綺麗に見えてきた。山車からは太鼓や笛を鳴らすお囃子の音が賑やかに聞こえ、加えて神輿をせいやせいやと叫びながら担ぐ光景が、祭りのムードを一層盛り上げている。  そして30分が過ぎただろうか。祭りの事務局から花火大会のアナウンスが流れはじめた。  「皆さん、お待たせしました。ただいまより、2018年軽井沢花火大会を開催します。今回は前半と後半と合わせて12万発の花火が打ち上げられます。どうぞ最後までごゆっくりと素敵なひとときをお過ごしください。まもなく、打ち上げ開始でございます。」  アナウンスが終わると、打ち上げ開始までの10秒のカウントダウンが始まった。圭介と葵も、周りにいた観衆の声に合わせてカウントダウンを数えた。カウントダウンが終わると、1発目と2発目の花火が、真夏の夜空に堂々と打ち上げられた。それを飾るかのように、川沿いの土手の回転花火が華やかに舞い、夜の風景に彩色美を加えている。  葵「うわあすごく綺麗。やっぱり今日軽井沢まで来て正解だったね。」  圭介「そうだな。地元の花火も綺麗だけど、やはりよそまで来て観る花火はひと味違うよな。」  2人は次々と打ち上げられる花火に感嘆の声を上げながら、真夏のロマンチックなムードに浸っていた。そうしている間にも、次から次へと花火が打ち上げられていく。遠くからきた甲斐あってか、地元のよりも綺麗に見える花火に見入っているうちに、楽しい時間はどんどん過ぎていく。  そして2時間が過ぎた夜9時半。すべての花火が打ち上げられ、盛大な花火大会は幕を閉じた。  「皆さん、お楽しみいただけましたでしょうか。これをもちまして、今年の軽井沢花火大会を終了します。お気をつけてお帰りください。本日はお越しいただきまして、まことにありがとうございました。」  大会終了のアナウンスが流れると、観客が続々と帰っていき、あたりはしだいに静かになった。圭介と葵は、帰る途中屋台でタピオカドリンクを買い、それを飲みながら帰りの電車に乗った。  そして電車に揺られること約3時間半。祭りの余韻に浸っているうちに、2人は終点の水戸駅に到着した。  葵「今日はありがとう。とても楽しかったよ。また来年も行こうね。」  圭介「そうだな!また行こう!今度は泊まりで行こうな!」  葵「うん!それと、今夜圭介の家に泊まっていい?」  圭介「それ俺も思ってたよ!一緒に行こう!ついでに言っておくけど、映画のDVDたくさん借りてあるんだ。よかったら観る?」  葵「うん!観る!」  圭介の家に着くと、2人は明け方までお菓子やジュースをつまみながら映画を観て過ごした。そして夜が明けると、とうとう疲れが出てきた2人は抱き合ってキスをすると、すやすやと眠りについたのだった。 (終わり)
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