第2章

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「「お前」ではなく、荒島菫です。」 「荒島?」 雨羽は、菫の苗字にピクリと反応する。 「あなたと同じクラスに荒島京平ていう方がいるでしょ?その妹です。」 「…あぁ、あのメガネの妹か。」 思い出したかのように、返事をした。 美術室の騒動から何度も顔を合わせてるはずだ。 だが、今の反応を見るとクラスでも京平の顔を見てる様子ではなかった。 「兄妹二人で俺に説教か。…はっ、随分とお節介なんだな。」 「私は、常識を教えただけです。」 鼻で笑う彼に菫はムッとした顔を浮かべる。 相手にしなくてもいい事は分かっている。 だが、目の前で馬鹿にされると少し腹が立った。 彼に追いかけられている依子の気持ちが、少し分かったような気がした。 「あと、私の友達の事を「たぬき女」って呼ぶのやめて貰えませんか?友達が悪いあだ名で呼ばれてると気分が悪いので。」 これだけは許せなかった。 友達が悪口を言われてるように、馬鹿にしたあだ名で呼ばれていると苛立ちを覚える。 「何でお前が怒ってる?」 怪訝そうな顔で雨羽は首を傾げる。 この人は人の事を考えたことがないのか。 菫の中で怒りが一気にこみ上がってきた。 「当たり前でしょ!依子は「たぬき女」じゃなくて…」 雨羽と対峙する菫を見てたクラスメイト達は、ゴクリと息を呑んだ。 これは「親友よ!」と言うところだ! 雨羽以外の者達は、同じことを考えていた。 緊張感が教室内に走る。 「あの子は…です!」 彼女の発言を聞いた途端、教室内はしばらく沈黙が流れたのだった。
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