花の暗殺者

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 「な、なあ。」  ゆう君が気まずそうな顔で私を見る。取り巻きの2,3人の女の子たちを連れて。もう怒りは湧いてこない。私たちきっとお互いにお互いのダメな部分を認め合えてる、悪いコンビじゃない気がするの。許すとは言わないけど。そう声を掛けてあげたい。    「信じられないと思うけど、こいつらみんな妹なんだ。」    空気が凍り付いた。一人っ子だから甘えん坊なんだって散々言ってたの誰だっけ?  「スノチュウ…やっぱり…」  スノチュウはとっさに目を逸らして、私の手から飛び降りた。  「外出自粛要請でそろそろ帰らないと。じゃーねー」  逃げるようにすたこら走る。そんな小さな後ろ姿を親し気な気持ちで眺めた。また呼ぼう。  あなたの前にも現れるかも。悪い冗談が大好きな花言葉の妖精。
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