プロローグ

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プロローグ

 およそ100年前。  世界は未曾有の大変動に見舞われた。  巨大な時空震動の発生により、世界と世界を仕切っていた次元の壁が崩壊。  あらゆる異世界は一つの世界に統合された。  後に、『パラダイムシフト』と名付けられたこの大変動は、文字通り全ての世界にとっての変革となった。  人種や、性別をも越えた異種族とのコンタクトに始まり、未知の技術の流出による技術変革。  時には、好戦的な異種族による他種族への侵略行為も勃発した。  価値観と常識は崩壊し、古い世界のルールは通用しなくなった。  しかし、それでも人々は諦めなかった。  何度も何度も崩壊と復興を繰り返し、種族の壁を越えて手を取り合おうとした。  世界が、常識が変わり始め、争いは徐々に治まり、代わりに他種族間での交流が始まった。  道を歩けば異種族が普通に出会うようになり、異種間での結婚も少なからず出てきた。  あらゆる技術が統合され、『パラダイムシフト』以前の文明を遥かに凌駕するようになった。  だが、何もかもが安寧になった訳ではない。  大きな戦争こそないものの、文明の発達は異種間での不理解による紛争や、新たな犯罪を生み出した。  あらゆる危険と希望を乗せ、世界は回り続けるのだった。
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