私たちと朝の教室

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私たちと朝の教室

「おはよう」  今日も、川海くんは7:45に登校してきた。 「おはよう。今日も、早いね」 「自転車、ぶっ飛ばしてきたから。そっちこそ、今日も一番乗りやん」 「しゃーないよ、電車の関係やもん」  川海くんは、「そかそか」と、独り言を言って、席に向かった。  川海くんが、教科書を取り出す音、  私が、本のページを繰る音、  それだけが、朝の教室に響く。  そんな、少し不思議で、でも居心地の悪くない雰囲気を……毎日、少し楽しみにしている。  毎朝、そろそろ、来るかなとか。  足音がする! 川海くんかな? とか……  そんな風に、川海くんを待つ時間が好きだ。  川海くんには、知られたくない。  その為に、朝早くから、電車に乗っていること。  楽しみにしているのが、自分だけだとは思いたくないから。
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