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僕の誕生日
今日は、僕の誕生日。
誰か、祝ってくれないかな?
窓際の席に座る、河山さんを盗み見る。
今朝も、本を読んでいるようだ。
きっと、河山さんは僕の誕生日なんて知らないし、祝ってもらえる訳がない。
だって、僕たちの関係は、朝休みにたまに会話する程度のもの。
存在は認識されていても、深く関わることはない。
まるで、タンポポと、チューリップみたいに、同じフィールドに立つことはないような関係性。
「川海くん……、おめでとう」
声に驚いて顔を上げると、そこに河山さんがいた。
微笑みを浮かべ、頬を赤く染めた河山さん。
なぜだか僕は、綺麗だな、と思った。
「手前味噌でごめんね。良かったら、読んでみて」
河山さんが薄い冊子とカードを差し出した。
冊子は、文芸部の部誌らしい。
表紙には「花言葉とともに」と書いてある。
開いてみると、目次があり、様々な作品名が並んでいた。
へー。知らなかったな。
文芸部って、小説とか、イラストをかいているのか。
作者名はペンネームのようだ。
「河山さんの作品も載ってるん?」
「そりゃ一応ね」
「どれが、河山さんの作品か、教えてくれる?」
「無理! 恥ずかしい! 自分で考えて」
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