僕の推理

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 僕はミステリー小説が大好きで、普段から深読みする癖がある。  だから、河山さんからのメッセージカードにも、何か『意味』があるのでは、と考えた。  不自然な、満月。  文末のパンジー。  恐らく、この2つが何かを、表している。  そして、手がかりは、部誌。  なぜなら、僕にプレゼントを渡すなら、メッセージカードだけで良かったはずだ。わざわざ、部誌を贈ったことには、理由があるはず。  とりあえず、部誌を読んでみよう。  結論から、言えば謎は解けた。  満月が表していたのは、小説の題名。  「望月とユメ」それが、河山さんの小説だった。  望月は、満月のことだからな。  どうして、分かったのか、理由は簡単である。  部誌の全ての作品を、読み終わった時に、僕の中で一つの仮説が浮かんだ。  しかし、確証が無かった。  そのまま、ページを繰ると、あとがきのページがあった。  我が高校は、手書きであとがきを書いていた。  それで仮説に確信が持てたのだ。  次に、パンジー。  これの推理は少々手間取った。  しかし、これも部誌がヒントだった訳だ。  部誌のテーマは「花言葉とともに」。  そこから、発想を得て、僕はパンジーの花言葉を調べてみた。  パンジーの花言葉は、花の色によって違うようで、温順、愛の使者、慎ましい幸せ……などの意味があった。  しかし、どれも意味が、この状況に合わない。  僕の性格や、イメージを表したいのなら、こんな回りくどい方法を使う必要がないからだ。  その後、調べていくと、西洋での花言葉では、パンジーに少し違う意味があった。  紫パンジーには、次のような意味があるそうだ。    私の胸はあなたのことでいっぱいです
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