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【わかった、ありがとう! 今日はわたしが作るから!】
送信ボタンを押して、ふと顔を上げると乗換駅。慌てて立ち上がって電車を降りるとすぐ後ろでドアが閉まった。
危なかった。せっかく早く出てきたのに、こんなことで時間をロスするわけにはいかない。
次の電車は二駅しか乗らないから、今度はスマートフォンは見ない。ドア付近に立って、他の乗客の様子を盗み見る。友達と笑い合う女子高生、耳に大きなヘッドフォンをした男子大学生、眼鏡をかけたサラリーマン。みんな今日の晩ご飯は何を食べるんだろう。
ご飯のことばかり考えていたら、猛烈にお腹が空いてきた。腹の虫よ、もう少し鳴くのは待ってておくれ。あと一駅だから。
わたしは地下鉄の真っ黒な窓をひたすらに見つめてやりすごした。
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