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「アーベル、お疲れ様。よくやった。流石私の息子だ」
片腕に末っ子である妹のエーファを抱きながら、父親は真顔で親バカ発言をした。ちなみに、今回の計画の考案者は父親であるローデリヒと祖父のディートヘルム。
アーベルはただの実行役にしか過ぎない。
2人共今と比べて、15年前はだいぶ若かっ――、いや、国王は逆に筋肉の付いた今の方が若々しい雰囲気かもしれない。
今の自身とそこまで変わらない歳の両親というのは、少しだけ接しにくさは初めはあったものの、結局は現在の両親と大差なかったようにも思う。
または、15年前と性格的には変わりないと言うべきなのか。
「本当にお疲れ様。アーベルが頑張ってくれなかったら、今頃どうなっていたか分からないわ。本当にありがとう」
「父様、母様……」
ふんわりと微笑んだ母親に笑みを返そうとしたのもつかの間。
「それにしても、1歳半のアーベル可愛すぎなんだよね……。エーファも可愛いのだけれど、もう2歳になっちゃって……。やっぱり赤ちゃん可愛いし、みんなで育ててくれるから、子育ての負担が重くないのが良いよね……」
流石王族、と続いた母親の言葉に、父親がギョッとする。
「ま、待て、アリサ……。女の子が産まれるまで、と言って5人だぞ?男子は4人もいる。もう充分じゃないか?」
さりげなく空いた腕で母親の腰を抱いた父親は、なんとか回避しようとしているらしかった。これから母親の話す事を。
アーベルは相変わらず仲の良い両親だとは思ったものの、思春期男子には気恥しいので視線を逸らす。すぐ下の弟のレーヴェはもちろん、5歳離れたルートヴィヒとメーベルトも微妙な面持ちになっていた。
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