目覚めたら、妻が豹変した(ローデリヒ)

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 曰く、アリサ・セシリア・マンテュサーリは誰にでも足を開くふしだらな女である。  曰く、アリサ・セシリア・マンテュサーリは目麗しい従僕を侍らせているふしだらな女である。  曰く、アリサ・セシリア・マンテュサーリは貴族、平民問わずに常に男を漁ってるふしだらな女である。  どれだけアリサをふしだらな女にしたいかが伝わってくるような噂であるが、これがかなり話が大きくなってしまっていたのである。  それで王太子との婚約は破談。  王族との婚約破棄が水面下で囁かれた事もあり、アリサ・セシリア・マンテュサーリのふしだらな女説が現実味を帯びてしまった。  つまり、アリサ・セシリア・マンテュサーリは隣国の社交界での〝敗北者〟だったのである。  だがローデリヒにとっては、隣国の社交界での敗北者だろうが、ふしだらな女だろうがどうでもよかった。  所詮噂話。だから、本当でもよかった。  隣国の社交界での話など、こちらの社交界では必要ない。それに最低限の義務的な社交パーティー以外なら、出なくてもいいとすら思っていた。
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