目覚めたら、妻が豹変した(ローデリヒ)

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 侍従は栗色の瞳を大きく見開いて、固まった。元々大きな目が零れ落ちそうな位だった。 「それは……、おめでとうございます。……ですが、本当にローデリヒ様の血を引いておられるのでしょうか?」 「屋敷は女性騎士で厳重に固めている。侍女も多い。唯一接する事が出来るのは老人のジギスムントのみ。どう考えても私の子だろう?」 「……それは、そうですが……!」 「辞めておけ、ヴァーレリー。不敬だぞ」  尚も言い募ろうとする侍従を窘めたのは、イーヴォだった。ヴァーレリーと呼ばれた侍従は不服そうにしていたが、渋々黙る。 「……夫婦仲が上手くいっていないからそう言われても仕方ないな」  はあ、とローデリヒは深々と溜め息をついた。彼らに身近な人には、夫婦仲が冷え切っているのは既に知られている。  アリサがあまり社交界に出ていないので、周囲以外に知られていない事が幸いだった。だが、それも時間の問題である事は間違いないだろう。  アリサがいる部屋から数部屋隣。イーヴォとヴァーレリーを引き連れたまま、ローデリヒは扉をノックした。  出てきたのは二十歳半ばの女性。簡素なドレスに身をつつんだ彼女は、ローデリヒの姿を見るなり歓迎するように微笑む。  そして彼女が案内した室内には、ふくふくと順調に成長してきている赤ん坊がゆりかごの中で穏やかに眠っていた。
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