こうして殺人事件は起こったのである?(他)

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 内心ガタガタ震え、一体自分は何をしてしまったのだろうかと頭の中はグルグルとそればかりを考えていた。  今までの人生の中で取り立てて悪い事はしていないはず……、牢屋に入れられて拷問と称して舌を引っこ抜かれたりしないだろうか、手足切られたりしないだろうか。  後ろ向きな性格(ネガティブ)を拗らせた結果、完全にスプラッタな想像ばかりしてしまう。だが、血なまぐさい想像は止まらなかった。  約束の刻限になるまで。 「貴女、キュンツェル子爵家の三女だそうね?歳は十八歳。間違いはないかしら?」 「……はい」 「貴女をローデリヒ殿下の側室にならないかしら?わたくしが推薦してあげるわ」 「…………え?私が王太子殿下の側室?」  ハイデマリーに呼び出され、告げられた言葉に目を見開く。いや、現在その王太子殿下の父親の側室なのだが、大丈夫なのだろうか。  ティベルデの思わんとしている事を察したのが、ハイデマリーが艶やかに微笑む。 「陛下のお手付きになっていないのだし、大丈夫よ。ゲルストナー公爵から誰か推薦してくれって頼まれているの。わたくし、貴女が適任だと思うから」 「ですが、私は下賜を望んでいます」 「あら?そうなの?」 「はい」  ティベルデは迷いなく頷いた。  昔はともかく、王太子が結婚してから国王は側室に手を付けていないというのが有名だ。実際に側室が手を付けられたなんて話を、後宮に入ってからティベルデは聞いたことがない。
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