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なんでここへと来たのだろう、と自分でも困惑する。誰かに助けて欲しかった。この苦しみから抜け出したかった。辛かった。
でも、こんなこと言っても駄目だってわかってる。遥生も困るとわかってる。
それでも…。
「…なな…?」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。私が今、一番求めていた声。
私がそちらを見ると、彼はコンビニの袋を片手に大きく目を見開いていた。
うっすらとガリガリ君のパッケージが見える。アイスを買いに行った帰りに偶然出会ったようだ。
私は突然の出来事に驚いて、急いでそっぽを向く。今の私を、彼に見て欲しくなかった。早くこの場を去りたい気持ちでいっぱいだったが、本心では彼に会えたことに安心しており、足は動かなかった。
「こんな時間にどうしたんだよ」
遥生は小走りにこちらへと走ってきて、私の前に回り込んでくる。
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