1

35/36
前へ
/76ページ
次へ
「…なんで、遥生が泣くかな…っ」 私は立ち上がって遥生の胸に飛び込んだ。背中に手を回してしがみついた。たくさん、たくさん泣いたはずなのに涙はまた溢れだした。 なんでかな、君のことじゃないのに。全部全部私の事情で、君は全く関係ないのに。ただの幼馴染なのに。君は私の代わりに、私のために綺麗な涙を流してくれる。私のことを考えてくれる。私に泣いていい、頼っていいと言ってくれる。 遥生のTシャツ、涙でびちょびちょになるな、なんて思ったけど、気にしない。君が良いといったんだ。私は、枯れるまで泣くよ。 「…う、うぅ…」 君がいない世界なんて想像出来ない。君と出会えてよかった。 君は世界で一番の…… 真っ暗な公園。灯りは電燈くらいしかないのに、今までで一番温かい、明るい光を感じた。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加