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遥生はあのままずっと私を抱きしめてくれていた。大きな手で頭を撫でてくれた。 今日の日を忘れることなど一生出来ないだろう。1番傷ついた分、1番優しくされた日。 そして、遥生が私の中で世界で1番になった日。 あまりの寒さに身体が耐えられなくなった。私はくしゃみをして起き上がり、身体を摩った。 どこもかしこも痛くない。耐えるのは、寒さだけ。 私は本当に無傷だった。遥生が助けてくれたから。 静かに寝息をたてる遥生は、生きているのに話すことも出来ない。 菜々は眠る遥生の頬に手を添えた。 「遥生、大好きだよ」
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