所詮、遊び

1/1
前へ
/3ページ
次へ

所詮、遊び

ザザーーー  モニターが砂嵐になる。爆発でカメラが吹き飛んだのだろう。一時間前からモニターを眺めていた老人は、疲れた表情で目の間を揉む。「いかがでしたか?」老人の後ろに控える黒スーツの男が聞く。老人は肩をベキボキと回しながら、嬉しそうに答える。「今回は、楽しかったわい」「そうですか、次もおやりに?」控える男が確認する。「当然じゃ!また組織の者とフリーの殺し屋を雇え。人数バランスは変えろよ、飽きてしまう」老人は横に置いてあった扇子をパタパタと扇ぐ。「はい、御随意に」黒スーツ男は退出する。すると、砂嵐のモニターが切り替わる。モニターには廊下を歩く、先程の黒スーツ男が映る。ドッ!!!と凄まじい音がして、またモニターは砂嵐に包まれる。ザザーーー  老人は砂嵐が好きだ。モニターが映せない景色は一体どんな景色なのだろうかと、想像出来るからだ。だが毎回同じ景色を想像する。老人が作る喜劇のオチは全て爆発だから、血と灰と瓦礫。いかにも殺風景だ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加