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「とうとう、私達も高校二年か……」
隣を歩く親友の亜里沙は胸まである栗色に染められた髪を、指先でクルクルと弄びながら唇を尖らせる。
「このままだと、あっという間にお婆ちゃんになっちゃうよ」
なんて、気の早いことを言い出したかと思うと突然私の顔を凝視する。
「ちょっと、亜美。人の話、聞いてる?」
「聞いてるよ。あと、見てた」
「見てた? 何を?」
と、ただ首を傾げているだけで何かの商品広告のポスターを見ているようだ。
「本当、亜里沙は何をしてても可愛いなー。と、思ってさ? 羨ましい」
「はい? 真顔が可愛いあんたの方が羨ましいわ!」
……真顔。
正直、そんな褒められ方をされても微妙だけど。
表情が乏しいのは昔からだし、感情表現が乏しいのだからしょうがない。
亜里沙は、恐らく真顔であろう私の首元に笑いながら細い腕を絡ませると、ぶらぶらとぶら下がる。
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