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ひどいわ。ひどい。
外に出たパママンパは強い風によろけそうになる。
家族なんか、と言われたことがパママンパの胸をしめつけていた。
パトリックは昔から一人でいるのが好きな子だった。
みんなでワイワイするよりも一人で探検したり昼寝をしたり、本を読むのが好きな子だった。
(それでも……家族を大切にしてくれていると、信じていたのに)
パママンパの生き方が間違っていたとでも言われたかのような気持ちだった。
パママンパの20本の腕が風にはためく。
パママンパは風に押し出されるようにして、ふらふらとブルーライトフラワーの花畑へ歩いて行った。
今年は満開を過ぎてもまだ、花のかり取りをしていなかった。
それは、あの夜、プックンに自分の秘密を打ち明けたせいかもしれない。
自分の娘に、しかもまだ腕が半分も生えそろっていない子供に、あんな話をしてしまうなんて。
今思い返しても不思議な出来事だった。
あの時、プックンをとてもまぶしく感じた。
青い光に包まれた宇宙の真ん中で、パママンパは花たちが「何でも、プックンに話してごらんよ」と言っているような気がしたのだ。
この花を、ブルーライトフラワーを育ててきたのは、パママンパの中にある、行き場のない感情を吐き出すためだった。
パママンパは大切な人との約束を破った。
パママンパの選択が彼女の傷ついた心をえぐると、分かっていたのに。
「ごめんなさい……」
こぼれ落ちたのは、パママンパが今までどうしても、発せられなかった言葉だ。
彼女はパママンパの元を去った。
本当に好きだったから。
ずっと、許せなかった。
ずっと、苦しんできた。
とめどなく涙があふれ、パママンパはわんわん泣いた。
青い花たちがそよそよと、パママンパに語りかける。
パママンパはその声がだんだん大きくなっている気がして、花がしゃべるなんて考える自分がおかしくて、ふふ、と笑った。
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