3.晩夏

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パママンパは泣きはらした顔を上げる。パママンパの目の前にはプックンの丸いお顔があった。パママンパはぽかん、とした。 「パママンパ!」 まだ少ない腕をいっぱいにのばして、プックンが抱き着いてくる。 花が話していると思ったけれど、あれはプックンの声だったのだ。 パママンパは小さい娘を精いっぱい抱きしめ返す。 プックンはすぐにパママンパから離れてしまった。 プックンはパママンパの手をぎゅっとにぎってくれ、それから、大声であたりに呼びかけた。 「ねえさーん!みんなー!こっちだよーーー!」 わらわらと、子供たちが集まってきた。 家の中から、ベリー畑の向こうから、昼寝に最適なあっちの木かげから……。ゴミ箱から出てきた子もいる。 みんなで手分けをしてパママンパを探してくれていたのだ。 パママンパの視界はぼやけ何も見えなかった。 しかし子供たちを見分けることはわけもない。 パトリックがしゅん、としてやって来た。 「パママンパ、ごめんね。僕、パママンパの気持ちを否定したかったわけじゃないんだ。わかってくれるかな。僕、パママンパのことが、家族が、大好きなんだよ」 パママンパはもちろんよ、と言って、パトリックを引き寄せた。 子供たちはパママンパの20本の腕を取り合うようにしてパママンパに抱き着く。 パママンパも一人ものがすまい、と腕をフル稼働して子供たちを抱きしめた。 プックンはその様子を少し離れたところからながめていた。 少しだけ目を赤くしたパトリック姉さんが、プックンの横に立つ。 プックンはプヨプヨまん丸のほっぺたをさらに丸くしてにっこりした。 「パトリック姉さん。ぼくね、ひとつだけ、分かったことがあるんだ」 「へえ。なんだい?」 プックンは背伸びをして、姉さんにそっと耳打ちをする。 パトリック姉さんは優しくほほえんで、 「生意気」 と、プックンのほほをちょっとだけつねったのだった。
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