1.初夏

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プックンが暮らすのは宇宙のどこかにある小さな星だ。 太陽がずいぶん遠くにあるからとっても寒い。夜ストーブをたかなくてもいいのは、一年のうちほんの数日だ。 今は初夏。 プックン達は長い冬に向けてたくさん食べ、遊び、力を蓄えなくてはいけない。 一緒に畑から帰ってきた妹たちは、元気に庭を走り回っている。 姉さんたちは難しそうな本をもって木かげに寝そべっている。 プックンはただなんとなく、こけにおおわれた、だだっ広い大地をながめた。 プックンの右手の方には真っ赤なベリー畑がある。 左手にあるのは、真っ青なお花畑だ。 真っ青といっても、まだ花は咲いていない。緑色でチリチリの、細かい葉っぱがたくさん生えているだけだ。 パママンパはお花を育てるのが得意だ。 いいや、花だけではない。プックンたちがこうしてスクスクと成長しているのは、パママンパが愛情をたっぷり注いでくれるからだ。 パママンパの子供は152人もいる。 夏の終わりに生まれる赤ちゃんも合わせると、ぜんぶで155人だ。 生まれてくる3人はすでにパママンパの頭から逆さまに生え始めていて、時がくればポコン、とパママンパの頭からはなれる。そうすればあら不思議、立派な宇宙クラゲの誕生だ。 パママンパの108番目の子供であるプックンは、その日を心待ちにしていた。 夕食の時間、みんなで美味しいシチューを食べながら、プックンの顔はどうしてもとろけてしまう。
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