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「プックンのお顔、今日のシチューみたいね」
143番目の子供、プリンがませた口調で言った。
プックンは、にまにましながら、
「うん。ぼくね、とっても幸せなんだ」
と言った。
プリンが口をへの字にする。
「プックンは毎日そう言うのね。かわってる!だって幸せって、お誕生日とかお正月とか、とくべつな日に感じるものでしょ?」
「まぁまぁ、そう言うなよ、プリン」
上から5番目の姉貴が口をはさんだ。
「プックンにとっては毎日が特別なんだ。確かにちょっとヘンだけど、変わっているところがプックンのいいところだよ」
姉さんはプックンにウインクをした。
パトリック姉さんは周囲をよく見ているんだなぁ。
プックンは感心しながらてれて赤くなった。
プリンは納得のいかない顔で、へんなのー、と言った。
プックンたちはたった一人のパママンパから生まれてきたけれど、みんな顔も性格も、まるで違う。
例えばプリンはおませさんだけど、ちょっとこわがりだ。
パトリック姉さんはマイペースで、他人も自分も同じように尊重する。
プックンは……、プックンの長所は、何だろう?
姉さんが今、プックンは“変わっているところがいい”と言ったけれど。
具体的に何がどう“いい”のかプックンには分からない。
(まあいっか。今すぐに分からなくても)
プックンはシチューを山盛りおかわりすると、にこにこしながら、すべて平らげてしまった。
具はほとんど入っていなかった。
プックンは気にしなかった。
だってスープには、パママンパの愛情がしみわたっていたのだ。
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