14人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
2.盛夏
夏まっさかり。
真っ青な花がピカピカッと一面に広がっている。
パママンパが毎年毎年、いっしょうけんめい、世話をしているお花だ。
その名はブルーライトフラワー。
「今年もいっぱい咲いたね、パママンパ」
プックンはブルーライトフラワーをうっとりと見つめて言った。
パママンパは返事をしてくれなかった。
しゃがんでいるプックンの横で、パママンパはジョウロをにぎって、ぼーっとしている。
どうしたんだろう。
「パママンパ?」
プックンが心配して見上げると、パママンパははっとした様子で、
「ああ……いけない。なあに、プックン?」と、にっこりとした。
プックンはいつものパママンパの笑顔とちがうぞ、と思った。
「パママンパどうしたの、なやみごと?」
プックンが言うと、パママンパは驚いたような顔をした。
そう、実際パママンパは、プックンの言葉にぎくりとしたのだ。
パママンパは、プックンのプヨプヨのお顔を見つめた。
(プックンはみょうに、するどいところがある。やさしい子ね)
パママンパはプックンのほっぺたに手をふれる。なんと愛らしいほっぺなのだろう。
「ありがとう、プックン。少しだけ、昔のことを思い出したのよ……。もう、だいじょうぶよ」
パママンパはもう一度、にこり、としてみせた。
しまいこんだはずのチリチリした感情が、胸の奥でしっかり根をはっているのを、パママンパは感じたような気がした。
最初のコメントを投稿しよう!