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――そして,昼休み。未歩と怜奈の姉妹は当選した宝くじを換金するために,駅前にある大手銀行の支店の前で待ち合わせた。
「はあ……。無事に一〇〇万円,換金できたねぇ,お姉ちゃん♪」
「うん。現金じゃなかったけどね……」
宝くじの当選金は,一〇万円までは売り場で現金で受け取れる。けれどそれ以上の高額当選をすると,大手銀行の口座に振り込まれることになっているのだ。
幸い,未歩が給与振り込みのためにその銀行の口座を持っていたので,当選金の一〇〇万円はそこに振り込まれた。
「――さてと。"当選金は半分こ"ってハナシだったけど……」
「……そうだね。それで?」
未歩はイヤな予感がした。
「実際に買いに行ったの,あたしだったよね?だからさあ,あたしに一〇万多めにちょうだい」
……やっぱりね。たとえ仲良しの姉妹でも,こと大金が絡むとモメる羽目になるのだ。
自分達は違うと思っていたのに。
「ダメダメ!ハナシが違うじゃない!"半分こ"って約束だったでしょ?だから約束どおり,あんたには五〇万しかあげられないよ」
実は未歩も,妹より多めに欲しかったのだけれど。それではケンカになると分かっていたので,あえて言わなかったのだ。
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