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「――で,どっちが買いに行くの?」
自分の負担分を財布から出した怜奈が姉に訊く。
「二人で買いに行けばいいんじゃない?これから一緒に行こうよ」
「そうだね。行こ行こ♪」
怜奈も出かける支度をして,未歩と怜奈は二人で「よく当たる」と評判の宝くじ売り場に出向いた。……が。
「――うわ……,めっちゃ並んでるよ!二人で列に並んだらジャマになるね,あたし達」
宝くじ売り場の前にはズラリと行列ができていた。あまりの光景に怜奈は絶句する。
「うーん,どうしようかな……」
未歩は頭を抱えた。彼女は人混みや行列が苦手なのだ。
「お姉ちゃん,行列とかダメだもんね。……じゃあ,あたしが列に並んで買ってくるから,お姉ちゃんはここで待ってて」
姉思いの怜奈は自分から「買ってくる」と言った。
「いいの?悪いね。――じゃあコレ,宝くじの代金ね。お願いね」
「オッケー!行ってくる!」
代金の三〇〇〇円を受け取った怜奈は,行列に向かって突進していく。
未歩は近くの自販機で冷たい麦茶を買って,ベンチに座って待つことにした。
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