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「だいたい,お金はあたしの口座に入ってるんだから。決定権もあたしにあるの。『宝くじ買おう』って最初に言ったのもあたしだし」
「でも,実際に売り場まで買いに行ったのあたしじゃん!お姉ちゃんの方が収入いいんだからさあ,大学生の妹に多めに分け前くれたっていいでしょ!?」
――姉妹は大モメにモメた。
大金には魔力があるのかもしれない。普段は仲のいい姉妹が,ここまでいがみ合うほどの。
しまいには,「あんたは金遣い荒いんだから」だの,「お姉ちゃんはお金持ってたって使わないじゃん!ケチだから!」だのと罵り合いになってしまった。
端から見れば,みっともないことこのうえない。
「あーもう!こんなことになるなら,宝くじなんか買わなきゃよかった!」
「ホントだよ!お姉ちゃんが『宝くじ一緒に買おう』なんて言わなきゃ――」
怜奈がそこまで言いかけた時,宝くじ売り場から出てきた一人の男性の声が二人の耳に届いた。
「あー,当たったはいいけど一万円か……。でもこういうのは,買わないと当たんないもんな。一万円当たっただけでもラッキーだったな♪」
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