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「「あ……」」
その男性の言葉に,姉妹はハッとさせられた。
宝くじは,買っても当たらないことの方が多い。けれど,買わないと一〇〇パーセント当たりっこないのだ。
一万円当たっただけで「ラッキーだ」という人もいるのに,一〇〇万円当たってその分け前でケンカしている自分達はなんてみっともないんだろう!
「……怜奈,ゴメンね。『宝くじなんか買うんじゃなかった』なんて言って」
「ううん!あたしこそゴメン,お姉ちゃん。さっきは言い過ぎたよ」
お互いに非を認めて謝ると,姉妹はとりあえずいつもの仲良し姉妹に戻った。
「お金ってコワいね,お姉ちゃん。あたし,自分がこんなに欲深かったんだって,なんかゾッとしたよ」
「もうお金のことでモメるのやめようね。……で,とりあえず一〇〇万円いっぺんに下ろすのはやめた方がいいかもね」
大金を(半分ずつとはいえ)持ち歩くのは防犯上よくないし,またモメる原因になりかねない。
「とりあえず二〇万下ろして,一〇万ずつ分けよう。で,あとの八〇万は必要に応じて下ろすってことにしようか。――あ,今日の晩ゴハンは一緒に焼肉食べに行こう。もちろん割り勘でね」
――とりあえず一〇万円ずつを持って,姉妹はそれぞれ職場と学校に戻っていった。
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