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――それは,とある仲良し姉妹のお話。
ジャンボ宝くじが発売された日,姉の未歩がこんなことを言い出した。
「今回は二人でお金出し合ってさ,連番で一〇枚買おうよ。で,当たったら当選金は半分こね」
未歩は小さな会社で経理をしている二十四歳のOL。一人暮らしをしているけれど月収はあんまり高いとはいえないので,年に何回か発売されるジャンボ宝くじを毎回購入しては,一攫千金を夢見ている。――ただ,一度も当たったためしはないけれど……。
「いいよ。あたしも,宝くじ当たったら買いたかったものがあるから」
姉の提案に乗ったのは,二歳下の妹・怜奈だ。
怜奈は二十二歳の大学生。学費は両親に出してもらっているけれど,こちらも一人暮らし中なのでアルバイトをしながら学生ライフを送っている。
今日は未歩がこの提案を怜奈に持ち掛けるために,怜奈のアパートまでやってきたのだ。
「じゃあ決まりね☆一〇枚だから……,全部で三〇〇〇円か。んじゃ,あたしが一五〇〇円出すよ」
「あ,じゃああたしも一五〇〇円ね」
――かくして,この仲良し姉妹はお金を出し合い,「当選金は半分こ」という条件でジャンボ宝くじ一〇枚を購入することになったのである。
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