「きっとどこかで見た色」

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「きっとどこかで見た色」

今日は 箱庭からちょいと出てみたときの話です。 帰り道の下り坂 不思議な色が見えました。 下は赤くて だんだん青くなって  でもやっぱり赤だった。 何色とも決められない  混沌とした空模様。 夕方と夜中の中くらいの一瞬で パッと現れて溶けてしまいそうな 淡い淡い色でした。 なぜか懐かしい気持ちになります。 というのも 何かに似ているのです。その色が。 何でしょう・・・ いつか舐めた 甘酸っぱい柑橘キャンディーの表面だった気がします。 新感覚の味で、1度に3つも放り込みました。 いつか飲んだ 子ども用のシロップ風邪薬だった気がします。 遠い遠い昔 ガラガラ声のお医者さんは苦手だったけど 飲み薬は大丈夫でした。 いつか読んだ  プリンセスの勝負服だった気がします。 魔法の洋服店では 生地を空へ掲げ たった1つの芸術を仕立てました。 いつか見た 朝焼けグラデーションだった気がします。 閑散としたホームで 『カクテルをひっくり返したような~』の詩を作りました。 だんだん追い抜いて 見えなくなりました。 そのどれかと似ているのかもしれませんし 新しいのかもしれませんし ・・・でも  どこかで出会ったかもしれない色でした。 またいつか見る時は  角度が変わって見えるのでしょうか? ありふれた風景が  今日は絶景でした。  
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