「もしも尻尾が生えたなら」

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「もしも尻尾が生えたなら」

美容室に行ってきました。 ヘアアイロンをしてもらう時、後ろの髪をピン留めで留めてもらうのですが、左右の髪を持ち上げる形で留めるので、なんだか猫の耳のようになります。それもかなりリアルな。 あの 某ロングランミュージカルに出てくるような フサフサの耳みたいになるので少し好きです。 何度か思います。 「もしも、犬や猫のように、人間にも尻尾が生えていたら」と。 犬は尻尾をふる時、たいてい喜んでいる時ですが、猫がしっぽをふる時は、振り方によってリラックスしている時と不機嫌な時で分かれるそうです。 もしも尻尾が生えていたら・・・ これまでよりずっと 自分の気持ちを正直に示せるのでしょうか。 笑うことが苦手でも、尻尾があれば動きで喜びを表現できる。 顔では「元気」と言っても、尻尾が明らかに落ち込んでいれば、何かあったことを周りに知らせることができる。 「察してもらいたい」と確証のない期待に身を寄せすぎることも  「察してほしいオーラが重い」と嫌われることもない。 どうして人間には尻尾がないのでしょう。 人間は  嘘をつくことが上手で。 人間は  気遣いすることが多くて。 人間は  自我を押し込めることに慣れて。 人間は  触れ合っても  触れ合っても  そこに絶対に壊せない壁があるようで。 相手を知りたい。分かり合いたい。 でも 知りたくない。嫌いになりたくない。 そんな表裏一体の感情が交錯するようで。 幸せでしょうか?不幸せでしょうか?人間に尻尾がないことは。 議論しても  答えなんて出てこない。 無いものは  無いのだと 受け止めることが  精一杯。 だけど   時には 気付いてほしい 助けてほしい そばに居てほしい 何も言わなくていいから  ただそばに居てほしい そんな時に  尻尾が欲しくなるのです。 そうこう考えているうちに  私の猫耳は消滅しました。
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