「お水ちょうだい」

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「お水ちょうだい」

夢を見ました。 私はどこかで見たことがある日本家屋にいて、その後ろを誰かがつけてきます。 それは私に向かっている気配であると分かっていながら、私は気配に気づかないふりをしました。 その気配に、「怪異」を感じたから。 『〇〇○』 私の身体的特徴を叫んだ声は、気の強い少女の声でした。 あぁもう逃げられない。振り向いた先の少女は10歳ぐらい。中肉中背に、黒いおかっぱ頭と赤い吊りスカート。どこかで見たことがありそうな少女でしたが、私は明らかに「怪異」を覚えていました。 『お水ちょうだい!!』 少女は はっきりと私に言いました。その目は、何かを恨んでいるような目。 私は彼女に何かをしてしまったのかもしれない。だったらここは彼女の願望を最短で叶えることが得策だろう。 どの瞬間に現れたか分からない店に、私は少女の手を引き躊躇なく入っていきました。 店員達は、絵に書いたような「親切」な人ばかり。すぐにピッチャーで水を用意してくれました。直接水を飲んだ少女は不満げに叫びました。 『この水は甘くない!甘い水をちょうだいよ!』 水に甘いも辛いもあるか・・・困り果てた私は店内を物色しました。何か甘くするもの・・・すぐ見つかりそうなのに、これがなかなか見つからない。苛立ちを焦りを抱えた私の目に、ガムシロップが映りました。紅茶に入れる、小さな帽子型の入れ物に入ったアレです。 私はガムシロップを掴むと、すぐにレジに持っていきました。 「我儘な子って大変だね」 そんな顔で店員は手早く会計をしてくれました。 ガムシロップを水面に垂らした水を見せると、少女はこれ見よがしに水を飲み干しました。 その顔は、さっきの顔とは全く違う、健やかで可愛らしい顔でした。 店外へ飛び出した少女は、私に振り向いて叫びました。 『ここから先は見ないでね』 離れた場所からこっそり見ていることに気づかず、少女は松の木の後ろに隠れ、見えなくなってしまいました。 「夢の中での少女は、本人の隠された部分の象徴であり、寂しさ・不気味さを感じた場合は奥底に眠るものが強く外に出たがっている暗示」 鵜呑みにするわけではありませんが、これが本当だとして私から出ようとしているものは一体何でしょう。 聞き出そうと探しても  少女は影の中へ消えてしまった後です。
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