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「先生、誕生日おめでとう!はい、プレゼント!」  今日、5月4日は私の誕生日。島崎さんは私に大きな紙袋を差し出した。そういえば、花壇の世話をしながら誕生花の話になって、誕生日を言ったような…  私は、差し出された紙袋を見詰めて立ち尽くす。  生徒から、プレゼントをもらっていいのか?  やましい気持ちなんかもちろんない。でも、生徒から個人的なプレゼントを受け取って、後で問題にならないかな? 「あっ!プレゼントってのは嘘!しばらく先生に預かって欲しいの」  紙袋を受け取らずに考えていると、手に押し付けられた。 「預かるって、これ何?」 「見ていいよ」  紙袋から箱を取り出し、蓋を開く。目に飛び込んできたのは、太陽光を反射して光る透明なガラス。慎重に箱から出すと、小さな紫の花が入った縦長のガラスドームだった。 「これ、どうやってお世話するの?」  当然開けて水をやらなければいけないだろうけど、ドーム内には小さな花が溢れんばかりに咲いている。開けた途端に溢れて戻せなくなりそうだ。 「先生。それ、プリザーブドフラワー。世話の必要ないから」  名前しか知らないプリザーブドフラワー。教えてもらうと、生花のように見える加工された花らしい。 「これ、なんて花?」  花に詳しくない私は、小さく咲き誇る紫色の花を見つめて聞いた。 「ライラック」
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