胎動するひかり

1/11
前へ
/11ページ
次へ
せかいの胎動が聞こえる、と嬉しそうに彼女は言った。 今、彼女の腹の中にはせかいがいる。新しいせかい。これからかみが出来るのよと目を輝かせて言う。 そうか、すべてができて初めてかみさまも出来るのか。 ほんとうは、彼女はなんにも知らない。すべてのことを私に語って聞かせてくれたけど、彼女はわかりたいことをわかりたいように知っているだけで、ほんとうのことはなんにも知らない。 もしかしたら彼女こそ神なのかもしれない、と私は思う。 そうじゃない?と聞くと、わたしはなりたくないなあと曖昧に笑って膨らんだ腹を触った。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加