胎動するひかり

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ずっと雨が降り続けるせかい。 わたしたちは、自分が何かでできてしまう。 これは許されないこと?わたしはそれを愛したい。 動きと温み、それと意思あるものが、新たな1分になる。 彼女もきっと知らないだろう、次に出来るもののことなんて。 寝て、起きて、水槽をのぞいたら腹を撫でた。 これからかみが出来るのよ、これがわたしの光。 これは孤独?際限のない小さな光が軽々しく息をひそめていた。 彼女は最初の人なので誰にも分からない。 この世で純粋に潔白な生成は起こりえない。 だから彼女たちは、呼吸するように話し、食事するように触れ合った。 もう何回も聞いたよ、大丈夫。 あなたがそう感じていることを望んでないもの。それにいいよって言ったから、あなた。 わたしは愛する対象。 遠くから小さな光が浮かぶのを俯瞰するだけでよかった。 この世界を捨てていたウーパールーパーは死んだ。 朝起きて、伸びをすると、今は夕暮れ? ここ。 誰も死なない世界。 人は生まれることが罪なの。 この部屋すべてが許される、そういう摂理でしょう。 やさしいね。 彼女も同じこと。 それは雨、にしてはやわらかすぎるが、始まることと同義なの。 連鎖してもうどうしようもないところまできて今のところ末端であるわたしは罪でしかないんだわ。 だからそのはたらきは、遠ざけることと同義なの。 始まり?わたしはそれを愛したい。 それは遠くから語りかけてくるようで実はすぐ足元に手を伸ばすように感情を求めているということ。 光だけじゃなんにも見えないって知っていることを私は知っているの。そして私がした。 それは同時に、光が軽々しく息を吸って、(それは腹式呼吸)、だから腹が大きく吸い込む。 なにかあたたかみのあるものが、一つの呼吸をする。 そして、この世界になりたい。 誰かの意思と、二者の関係において生成された「もの」としての自分が、巡り続いていた。 それまで曖昧になってみないと。 わたしのおなかの中に閉じ込められたら、誰だって悲しくて輝きくらい放つよ。 わたしはこの世界は一度おしまいになっていいと思うの、といってはにかんだ。 彼女はそれに、形を求めているだけでその中身を求めているだけでその中身を求めているわけではない。 彼女はそういう美しい人だ。だからきっと、腹の子は純粋で単一な認識はありえない。 永遠の始まり。 彼女は喜んでいた。 雨の音は聖歌の合唱のようで、私は、この中にむらができてしまう。 これは利害の一致だった。 彼女が外へ向かうのを拒む。 なんて整った性交だろう。 欠けのない被造物なんてないのに、原子たちも収斂していく。 壁に近づいた。 窓を見上げる。 今ある時間は、不純なわれわれをひどく嫌っていた。 それは重さも体温も感じさせないし、匂いもしないし、味もしない。 私が一回吸って吐くのにかかる時間が流れている。 それらが光を信じていないから、宿り始めているのだろう。 そこに腰掛けるように促されたが触れるのと触れられるのと二重の感覚がある限り、純粋で混じり気のない空間、照らし続ける闇、はじまりによく似た永遠、死なないウーパールーパー。 彼女の部屋に電気はない。 われわれは生まれてからここまで時間で規定されていて、そして崩れ落ちた。 そして今、また新しく吐き出てくるものだったらもうしばらくはこのまま、その土地が満ちていて、だから時計が存在しない今なんて考えられない。 この部屋すべてが美しくて、まるで意味ある言葉のように白く、血を通わせながら透けていた。 そのまま、どのようにできたかとか、とろとろと言葉を零した。 ふう、と思う。 街のアクアリウムみたいな光の中にいるのはね、 きっと せかいよ。 死なないせかい。 掬って水に沈むものものは溢れ出すように手を伸ばした、
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