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彼になら、こむぎを帰しても大丈夫だろう。私もようやく決心がついた。
『頑張ってくださいね。お父さん』
銀胡はこむぎの耳に顔を埋めて呟いた。
『……ありがとう』
『あ、でも……出来ればもう、こむぎを危険に晒すような稼業は続けて欲しくないです……』
私は唯一気になっていた点を付け加えた。銀胡は私の目を見て深く頷く。
『……約束しよう』
『とーた!』
こむぎがまた元気良く叫んだ。見ると、銀胡に向かって口を大きく開けている。オムライスの催促だ。
『すまんが此奴、うちに居る間にすっかり食いしん坊になってしまったようでな』
神様が頭を掻くと、辺りが笑いに包まれた。
銀胡はオムライスをすくうと、そっとこむぎの口に運ぶ。こむぎは美味しそうにそれを頬張った。
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