虎と鷹と野牛

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「元々この国は人族と亜人の仲はイマイチだったんやけどな.....」 ビリケンの話だと、まあ殺し合いとかするほどではないが、小競り合いは日常茶飯事だったらしい。 まとまりもなく、自分勝手に暮らしていては国としての発展など望めないとビリケンは頭を抱えていた。 そこへ現れたのが建御雷神。 タケミは日本で俺が夢中になっていた野球を使い、チームワークを覚えさせれば仲間意識も高まり、磐石の国造りが出来るとビリケンに持ちかけた。 最初はなかなか馴染めない国民も徐々に野球の楽しさにのめり込むようになり、いつしか国内に3つのチームができ、祭りとしての試合を年に1度行うようになったが...... 「あまりにも楽しすぎたんや」 年に1度が月に1度、やがてリーグ戦が始まり、国を3つに分ける程になってしまった。 「試合に負けると暴動が起こってまうんやで」 「その野球チームって」 「虎と鷹と野牛や」 「そ、それで結界は?」 「他国に争いが分からんように、表向きは賑やかな商業大国やから」 なるほど。 確かに虎や野牛頭のパワーなら投石で隣の国まで飛ばせるな。
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