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「ふぅ……」 課題を終わらせた僕は、パソコンを閉じて伸びをする。ずっと画面を見ていたからか、目が疲れてしまった。 大学生になって、課題のためにパソコンを使うことが増えた。課題も、高校生までの宿題とは全く違う。 僕は息抜きに、近くの喫茶店へ出かける準備を始めた。 個人営業の喫茶店で、静かな空間が落ち着くのだ。最近の僕は、ここで本を読むことにハマっている。 店員に案内され、店内を歩いて行く。その途中で、いつもと同じ甘い香りがフワッと漂った。 1カ月ほど前から、ときどきこの香りが僕の鼻をかすめるようになった。 チラリと匂いの元へ視線を動かすと、薄いブラウンのワンピースを着て本を読む、大人っぽい女性の姿が目に入った。長い髪を耳にかける仕草だけでも絵になる。どうやら今日も来ていたようだ。 店員に案内された場所に座るスタイルのこの店では、毎回違う席に座る。だから、ここに訪れるたびにすれ違えるわけではない。すれ違えた時は、同じ香りが微かに届いた。 「ご注文がお決まりになりましたら、そちらのボタンからお呼びください」 2人掛けの席に案内された僕は、女性が目に入る方へ腰を下ろした。 去って行く店員さんに会釈を返すと、メニュー表を開く。今日は何を食べようか。おやつ時だし、課題も頑張ったし、パフェでも頼もうか。
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