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次の日も、喫茶店に行った。昨日よりも早い、お昼時だ。
店内は込んでいて、しばらく待たされてしまった。
「あの、相席でしたらご案内できるのですが……」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
申し訳なさそうな店員に、僕は笑顔を返す。店員の案内について行くと、フワッと甘い匂いが鼻をかすめた。
「こちらのお席へどうぞ」
案内された席には、あの大人っぽい甘い香りの女性が座っていた。
「あ、えっと……。前の席、失礼します」
「どうぞ」
相手も驚いたようにぱっちりとした目を見開いている。けれど、僕が慌てて頭を下げると、にっこりと笑ってくれた。
「昨日も、来てましたよね」
メニュー表を必死で眺めていた僕に、クスクスと笑いながら話しかけてきた。
「は、はい。……昨日はイチゴパフェを食べてましたね」
「貴方が食べているのを見たら、私まで食べたくなっちゃって! 同じものを注文してしまいました」
へへっと笑った女性は、見た目よりも明るくてさっぱりしたような印象を持った。意外と話しやすそうな女性のようだ。
「今日は何を食べるんですか?」
僕と一緒にメニュー表を覗き込みながら、楽しそうに尋ねる。
「今日は……カレーにしようかな。あ、匂いとか、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。私もカレーは大好きです。あ、辛すぎるのは苦手ですけれど」
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