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彼女は慌ててそう付け足した。ボタンを押して店員を呼ぶと、僕はカレーを注文した。 「あ、私はフレンチトーストをお願いします」 僕は驚いて女性を見る。目が合うと、やっぱりにこっと笑ってくれる。 店員が去った後に、メニュー表を除けながら尋ねた。 「お昼、まだだったんですか?」 「いえ、メニューを見ていたら食べたくなりました。実は私、意外と大食いなんですよ」 大食いと言うが、見た感じのスタイルは太過ぎず細すぎず、スラッとしている。半袖の袖口に白のフリルが付いたシャツと、赤のチャックのロングスカートからは、大食いというのは想像がつかない。 「このお店には、よく来るんですか?」 「はい。貴方もですよね。よく見かけます」 話題を変えても、嫌な顔をすることなく、乗ってきてくれた。 「いつもどんな本を?」 「これですか? 今日は花言葉の本です」 「花言葉、ですか」 「はい! 花言葉の成り立ちが載っていたりするんですよ!」 楽しそうに読んでいた本を見せてくれる。受け取った本のページをパラパラと捲ってみる。花の写真と名前、花が咲く時期や花言葉などが載っていた。 「貴方は? いつもどんな本を読んでいるんですか?」
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