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2週目
翌週も電話の取り合いは続いた。
先週と同じように刈谷さんとふたりで電話に出続ける毎日だったが、
徐々に良い変化があった。
「五月さんですね。この間も電話で丁寧にご対応いただき、ありがとうございました。またよろしくお願いします」
「刈谷さん、五月さん。電話に早く出てもらっているおかげか、前より取引先からの評判が良くなっているよ」
会社の内外で良い評判が出てきているようで、確かに取引先や部外の人から話しかけられることが増えた気がする。
課長も席で満足そうに頷いているのが見えるのが妙に腹立たしいが、想定通りだったのだろう。
でも、今回の電話件数競争のおかげで私たちのやる気も上がり、周囲にも良い影響があったのは事実。
課長はさすがだ。
この時点で、私も刈谷さんも電話の楽しさを感じていた。
意識が変わるだけで、周りからの評価も自分のやる気も上がるとは思っていなかった。
トラブルの電話はやっぱり苦手だけど、電話が鳴るたびに、誰かを助けることができるチャンスだと思えるようになった。
そして、2週目の金曜日の定時で件数が確定したーー。
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