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しばらくして「総員!」と村長が声を大にして、マイクに語りかけた。
それは村中のスピーカーに声が届く。
「どうやら、我々の村が、あの、砂沢監督作品のロケ地候補となっているらしい。しかも!主演は石田香菜だ。どうだろうみなさん。石田香菜を見たいだろう?」
それに対して何も声は聞こえなかった。
しかし、「しかもそれは、高崎村と我々の村のどちらにするか、まだ決まっていないらしい!総員、我らが高崎村に負ける訳にはいかない!そうだろ!?」
隣の家まで徒歩で10分はかかりそうな過疎地の山奥に、村長の声がコダマになりそうなくらい響いた。
そして…
「おー!!!」
「それは負けられねぇ!!」
戦後時代さながらの『鬨の声』が山間に響き渡った。
「ではまずは作戦会議を開く。明日、16時に集合せよ!連絡は以上となります」
村長は満足げにマイクのスイッチを切った。
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