それは3年前に始まった

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高崎村は渓流釣りに訪れる釣り人も多く、小さいながらも県営のキャンプ場があり、いわゆる観光客も少なくはない。 県道にも近く、遠く日本海に沈む太陽も見える公園も観光名所として売り出していた。 さらに、県議会議員と仲の良い村議もいるらしかった。 「人口は我々より少ない。村の歴史だって浅い。それなのにここ数年は有名度で負けている状況です。その結果、我らの村からも高崎の飲食店に働きに出ているもいます。それを打破するためにも、映画のロケ地として誘致したい。もう高崎の連中に嫌味を言われたくないでしょう!?」 そうだそうだという声が室内に響く。 「高崎村にもロケハンが行っているそうです。たぶん向こうもいろんな手を使って誘致していることでしょう。県民保養キャンプ場の誘致でも取り合いに負けた悔しさを忘れてはいないはずです」 さらに語気の強まったそうだそうだの声が上がる。 それを見計らって日本酒を口に運んでいた村長が立ち上がった。 「そこで、だ。諸君、これから山代と考えた作戦を伝える。もちろん、他にもいい考えがあれば忌憚(きたん)なく発言して欲しい」
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