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3・募る想い
彼とバイバイしてエレベーターに乗る私。少し以前のことを思い出す。
彼のことが好きだ、そう思い始めたのはいつからだろうか。2学期の始めの席替えで隣の席になったんだっけ。最初は怖かったなあ。私が身長149.7センチのちっちゃい子だからだろうけど、とても大きく見えてしまって。でも、分かんないところがあったら優しくいつも笑顔で教えてくれるし、頭も良いし。皆に対して愛想が良いんだよね。彼だったら私の弱さも認めてくれるのかな…もう、ダメダメっ!私は誰に対しても優しく明るく、母親のように振る舞わないといけないのだから。
でも、今日の真田君の表情は面白かったなあ。驚きと迷いと。喜びもあったのかな…?そして目を見て本気なのか確かめようとするんだもん。私は本気なんだよ、真田君。君が私の全て。賭けてみたい人なんだから。私の部屋がある階に到達する。ほのかに赤らむ顔をポーカーフェイスにチェンジ。月曜日になればまた彼に会える。嬉しさとチクッと刺してくる、己を偽ってしまうことへの嫌気が湧き上がるが、そっと心にしまった。
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