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「涼くんかいい名前だね。野朝さんと幼馴染ね。なるほどなるほど仲がいいわけだ。野朝さんに友達がいて安心したよ」
余計なお世話だと未来はギロっと桐生を睨む。
さらっとひどいことを言いやがる。
「僕もやっと知ることができました。今朝から感じた視線、あなただったんですね」
「えー、わかっちゃった?」
あざとく反応をする翼に向かって犯人はお前かよと未来は目を鋭くした。
観察をする研究者、そして放課後の集まりに涼も参加する。
そしてこの人の今朝からやっている行動を聞けばなんとなく予想はしていたことだ。
「よし、今から警察に突き出して、いや先生に言うか?」
平和を乱した仕返しに未来は立ち上がる。どうにかしてこいつを追放しないと怒りが爆発しそうだ。いや、もうとっくに噴火しているかもしれない。翼の登場のせいで未来の感情はぶれぶれだった。
いつもは無だけだった未来の心が今は色々な感情にあふれている。
彼を嫌う気持ちと、なんかワクワクするという好意を抱く気持ちがぶつかれ合っていた。
「ちょちょちょ待ってよ。駄目だよ。俺、ゲストだよ。ちゃんと学校の許可取ってるし、警察に捕まったらやばいって」
「未来、落ち着いて。正体がわかっただけで僕は満足だから」
涼と桐生に止められて未来は興奮した気持ちを静める。
まあ、警察沙汰になったら自分も面倒くさいことに巻き込まれるかもしれない。それはそれで面倒だ。
「そういや、どうしてこいつだってわかったの?」
「3回目か4回目あたりだったかな。朝のホームルームの前にどこから視線来ているのかなってぱっとその方向に顔を向けたら、桐生さんが逃げる姿を見たから。未来、さすがにこいつはだめだよ。いくらこの人が変人で変態だからと言って」
「そうだそうだ、年上だよ。敬いなよ。そして相良くん。さりげなく俺をディするのやめてね。悪いことはしたけれどさ」
そうこうしているうちに昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴った。涼は立ち上がるが、未来はそのまま腰を下ろした。
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