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【初春に、野望を射た】
業務終了。ロッカールームに行き、着替えと身支度を同時にやった。自ロッカーの施錠を確かめてから、部屋を出た。さて、どうするか。真っ直ぐ帰るか、夕飯を食べるか。思案後、後者を選んだ。
坂道を下り、餃*の*将に足を進めた。卓席は全て埋まっていたが、カウンターは空いていた。隅っこに陣取り、献立表を開いた。ラーメン定食にするか、回鍋肉にするか。またぞろ迷ったが、結局、前者を注文した。
勘定を済ませてから、店の外に出た。途端に冬の冷気が襲ってきた。三番目に近い駅まで、徒歩で移動した。30分ほどかかる。歩きながら、ラジオの『子ども科学相談』を聴いていた。なかなか面白い番組である。
回答者の一人が「なので」「なので」を連発。失笑を誘われた。学者先生がこの有様ではどうにもなるまい。語彙の欠如もここまでくれば、立派なものだ。云うことは何もないし、云いたいとも思わない。
帰宅後、浴室に行き、温水を浴びた。居室に行き、愛機を起動させた。メクるを呼び出し、身辺雑記を1枚投稿した。シャットダウン確認後、トリスの水割りを作った。呑みながら、池波正太郎の『旅は青空』(新潮文庫)を再読した。素敵な題名だが、これは、稲垣浩監督の映画が由来らしい。
洗面所に行き、歯を磨いた。居室に戻り、円盤(DVD)プレーヤーに田宮版『白い巨塔』の3枚目を滑り込ませた。怖い顔で「人を殺してでも教授になってやる」などと、異常な野心を燃やす財前先生だが、彼の味方として行動する鵜飼教授(小沢栄太郎)も、強烈な我欲を秘めている。大変な狸だ。
この人たちは、自分の損になるようなことは絶対にしない。言動の裏側には、常に精密な打算が働いており、目的を達するためには、平然とウソもつく。彼らが勤務する浪速大学(病院)は、まるで化物の巣窟である。連日連夜、妖怪大戦争をやっているのだ。無論、正常な人もいるが、残念ながら、少数派である。タイトルの『白』には皮肉の毒が含まれている。
まあ、俺としては、大戦争になってくれないと面白くないわけで、心の中で「もっとやれ!もっとやれ!」と、叫びながら観ている。俺も黒い。〔3日〕
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