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「おまえ、今日行くよな。」 「今日?なんかあったっけ?」 「ったく。昨日言っただろ。…まあ、いいや。ミキ、カズも連れて来いよ。」 「うわ……カズのお守りもしなきゃだ。やっぱ行くのやめようかな。」 そう、コウタは私だけに特別なわけじゃない。 皆を巻き込んで楽しくやるのが好きなだけ。 そんなところも好きな理由のひとつ。 カズは相変わらずマイペースで、いつの間にか隣に座り、私達の会話に入ることもせず食事を始める。 「やっぱカレーにすれば良かった……」 ……とか言っている。うどんを食べながら。 コウタがその様子を横目にちらりと見て、笑いを堪えた顔で私を見た。 「しっかり決めてから頼め、っていつも言ってるでしょ。」 「うん…頼む時は絶対うどん、って思って頼んだんだけど…口が急にカレーを食べたがってる。」 再びコウタと見つめあうようにして目を合わせ、同時に噴き出した。 「何笑ってんの?なになに?」 私達に自分の言動が笑われていることなどまったく気付かない様子で、満面の笑みでいるカズ。 いいなあ、悩みとかなさそうで。 ……って、思ってたけど。 そんなことなかったんだよね。 人とテンポが違うだけ。 自分に疎いだけ。 カズが、普通の人間より柔らかで感じやすい心を持っていることに気付いたのは それから何年後だったかな。
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