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好きな人がいる。
初めて出会ったとき、それまで感じたことの無い感情が湧いた。
それは痛みのような。
例えて言うなら
細い針が指先にほんの少し刺さった程度の小さな痛み。
でもそれ以来
ずっと刺さったままで
日が経つにつれじわじわと深く食い込む。
「行くだろ?今日。」
昼休み、食堂で私を見つけるなり笑顔で歩み寄ってきたコウタ。
「どうしようかな。お金ないんだよね。」
いつものメンバーでのいつもの飲み会への誘い。
地方から出てきた私は、親からのギリギリの仕送りで学校に通い、
それ以外にかかるお金は週4日のアルバイトで捻出している。
それすらもあっという間に底をつくほど、都会での暮らしにはいろいろと出費がかさむ。
「行こうぜ。バイト休みなんだろ?俺が立て替えてやる。無期限無利子にしといてやるし。」
「それ、事実上の奢りじゃん。そんなんで行っても楽しくないよ。」
「まあ、そう言うなよ。」
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