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『さすがに無茶過ぎませんか？』
いつも腹だたしいほど落ち着いている彼の口調に、困惑の色を見た。
「一人も二人も同じでしょう？」と、私はスマホ越しに言った。
『それは二人が協力関係にある場合でしょう？ 全く違う目的で、互いの立場も知らない二人のバックアップなんて――』
「そうね。いくらあなたでも不可能よね」
私はわざと彼の嫌いな言葉を選んだ。
『無茶だと言ったのであって、不可能とは言ってませんが？』
そう言った彼の声は、明らかに不機嫌だった。
それは、彼にとっては良い傾向だ。
「どう違うのよ？」
『全く違いますよ』
「で？ 乗るの？ 降りるの？」
『報告は明日、直接あなたにお渡しします』
「明日は――」
彼は私の言葉を最後まで聞かずに、言った。
『不可能ならば、降ります』
言ってくれるじゃない――。
「トレーニングの予約を入れておくわ」
私は秘書に明日のスケジュールの変更を伝えた。
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