第七章 作戦

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第七章 作戦

 家に帰ってきた蒼は、言った。 『何も言わなくていい。その秘密ごと、咲を愛してる』  その瞬間まで、全てを打ち明ける覚悟を決めていた。けれど、何も言えなくなってしまった。 『隠したいことがあるなら隠しきって』  いつか、蒼にぶつけた自分の言葉を思い出す。  隠し通された方が幸せなこともある。  けど、隠している方は幸せでいられる……?  蒼が見たリハビリセンターのパンフレットと日付のメモが何なのか。いくら約束とはいえ、これ以上は隠していたくない。  蒼は怒るかもしれない。  今度こそ、離婚を言い渡されるかもしれない。  そうなっても、私には蒼を引き留める資格はない――。  それでも、言わなければ。  私の、最後の秘密を――――。
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